たな
路地裏にひっそりと佇む小さな料理屋「ひとくちや」。そこには日々の暮らしの中でちょっと立ち止まってしまう人々が訪れる。寡黙な大将が作る温かい料理と、心に染み入る「ごはんのおとも」が、彼らの心をそっと解きほぐしていくのだ。独身男性の卵の黄身の醤油漬け、女子大生のしそ味噌焼きおむすび、おばあちゃんの茄子の浅漬けなど、それぞれの人生に寄り添う一品が、じんわりと温かい人間模様を紡ぎ出す。フルカラーで描かれる美味しそうな料理と、巻末に添えられたレシピも魅力だ。読むたびに心が満たされる、珠玉のヒューマンドラマである。