オノ・ナツメ
鬱蒼とした森には、大人には見えない「クマ」の伝説があった。一日そのクマと過ごし、無事に森を抜け出せたら、なりたい自分になれるというのだ。そんな不思議な森へ足を踏み入れた一人の少女。そこで彼女が出会ったのは、なぜか森の奥に佇む謎の男だった。言葉少なく、しかし確かに紡がれる少女と男の交流。彼が森にいる理由、そして「逃げる男」の真実とは。まるで大人のための絵本のような、静かで奥深いミステリーが、読む者の心をじんわりと温めるだろう。