池田邦彦
昭和30年代の東京を舞台に、都心を巡る山手線。その鮮やかなうぐいす色の電車が、今日も人々の日常を乗せて走る。高校生の山野照美は、運転士の兄・剛志とともに、山手線の各駅で出会う名もなき人々のささやかなドラマに触れていく。ある駅では恋の悩みを抱える若者と、またある駅では家族の絆に揺れる人々と。駅ごとに紡がれるのは、笑いあり涙あり、温かさに満ちた人間模様だ。古き良き時代の東京の息吹を感じさせる、心温まる群像劇である。