夜の羊雲
海の見える不思議な街「雲ヶ浦」に、一人の少女・楠まよわが引っ越してきた。そこは記憶が詰まったメッセージボトルが流れ着き、瓜二つの「もう一人の自分」が生まれる場所。まよわは温かい下宿先、謎めいたドッペルゲンガー、そして心優しい少女や不器用な青年と出会う。彼女がこの街にやってきた理由とは一体何なのか。かつて「この街が少しでも寂しくありませんように」と願われた想いが、眩しくて仄暗い日々を紡ぎ出す。淡く繊細な筆致で描かれる、どこか懐かしくも幻想的な物語だ。