高橋葉介
「手の目」と呼ばれる流浪の女芸人がいた。彼女の掌には不思議な目の刺青があり、千里眼や予知といった異能を操るのだ。行く先々で怪異に遭遇する手の目は、時に人々の依頼を受け、時に自ら巻き込まれ、妖怪や人外の者たちと対峙する。人間の奥底に潜む欲望や秘密が、おぞましい怪異となって現れるのだ。彼女は飄々とした態度でそれらを解決していく。少女から大人へと成長する手の目と、彼女に弟子入りした小兎が織りなす物語は、戦前戦後の日本を舞台に、どこか懐かしくも恐ろしい怪談世界を描き出す。高橋葉介が紡ぐ、幻想的で耽美なホラー短編集だ。