雨瀬 シオリ
昭和20年、終戦直後の東京・上野は焼け野原と化していた。家族を失い天涯孤独となった戦争孤児の少年・兼吉は絶望の淵でもがき続ける。生きるためにヤクザ相手に喧嘩を売る日々だ。そんな彼の前に現れたのは、多くを語らぬ謎の青年・金井田だった。金井田との出会いが、荒れ果てた少年の心に小さな光を灯し始める。焦土と化した街で、人々は傷つきながらも必死に生き抜こうとする。これは全てを失った者たちが、互いに足りない「何か」を埋め合い、新たな絆を結んでいく迫真の人間ドラマだ。