森橋 ビンゴ/粉子 すわる
1980年の春、大学生の曲直瀬雄二は二つの秘密を抱えていた。一つは幼馴染の松永正樹への秘めた恋心。そしてもう一つは、自身の性に感じる違和感だった。まだ「トランスジェンダー」という言葉が知られていなかった時代、雄二は心の性と体の性のギャップに苦悩する。ある日、姉のドレスに袖を通した雄二は、その違和感が薄れることに気づくのだ。正樹を巡る切ない三角関係が動き出し、雄二をセクシャルマイノリティの世界へと導く人物も現れる。叶わない恋と揺れ動く性自認。複雑な感情が交錯する、心揺さぶる青春群像劇だ。