田辺チカ
しがない契約社員の野本貞夫、35歳。年収400万、結婚もして一見順風満帆な彼には誰にも言えない苦悩があった。妻からはバイキン扱い、娘と洗濯物も別。会社では愛妻弁当を自作しおしどり夫婦を装う日々だ。社会の「男らしさ」に縛られ弱音を吐けず、精神はすり減るばかり。ささやかな推し活で心の平穏を保とうとするが、モラハラ妻からの壮絶な嫌がらせは止まらない。会社のBBQに妻がまさかの参加表明。秘密を知る同僚もいて、貞夫にとって地獄の一日が始まる。居場所のない大人たちへ贈る、ほろ苦くもリアルな中年賛歌だ。