五十嵐大介
五十嵐大介のデビュー作『はなしっぱなし』は、日常に潜む不思議な出来事を描いた幻想オムニバスだ。子供の頃に感じた切なさや、背筋が凍るような怪奇譚まで、様々な物語が紡がれる。ある少年が手に入れた人面魚のような人魚、風を起こす半透明なクラゲ人、天に昇ることを願うミミズの赤竜など、奇妙な存在たちが緻密に描かれた背景と溶け合い、まるで古くからそこにいたかのようなリアリティをもって迫る。現代の「遠野物語」とも称されるその世界観は、読者を奇蹟と恐怖が入り混じる唯一無二の体験へと誘うだろう。