田中基
古書や骨董、印刷業がひしめき合い、現代から隔絶されたような街、塵保町。そこには、かつて猟奇小説を書き上げたきり姿を消した小説家・鳥羽山真理が営む古書店「悪童文庫」があった。ある日、彼の元を訪れたのは、新米編集者の秋里こだま。この出会いをきっかけに、物語は静かに動き出す。欲望、愛憎、嫉妬…人間の内面に渦巻く様々な感情が暴かれ、堕ちて初めて見えてくる人間の“真理”へと迫っていく。耽美でどこか狂気をはらんだ世界観が、読者の心を深くえぐる異色作だ。