小森羊仔
新学期を前に、時子は父親と海辺の小さな街へ引っ越してきた。波の音を聞くたび、彼女の脳裏には幼い頃、海で人魚に助けられたおぼろげな記憶が蘇るのだ。この街の海には人魚がいる。そう信じる時子は、新たな出会いや不思議な出来事を経験しながら、人魚の存在を追い求める。嘘つき呼ばわりされる少女や人魚を否定する少年との交流も描かれ、子供たちの心の機微が丁寧に紡がれていく。優しく幻想的な世界観に心癒される物語だ。