宮城とおこ
音楽学校でバイオリンを学ぶ高校生・理也は、将来を嘱望される天才児だ。だが彼には誰にも言えない秘密があった。それは、もうひとりの自分――多重人格という心の闇を抱えていることだ。ある日、ひょんなことから大学生の篤志と出会い、その秘密を共有することになる。篤志は理也の不安定な心を優しく受け止め、彼の逃げ場となっていく。しかし、理也に複雑な感情を抱き翻弄する先輩・香坂も現れ、三人の関係はもつれていく。天才的な才能と脆い心を併せ持つ理也の、繊細で切ない人間ドラマが紡がれる。心の機微を丁寧に描いた、深く心に響く作品だ。