柳広司/回鐘たまき
1925年、日本に「治安維持法」が制定された。マルクス主義者など反体制思想を持つ人々が取り締まりの対象となり、国は軍国主義へと傾いていく。そんな時代、プロレタリア作家・小林多喜二は過酷な労働環境を描く「蟹工船」の取材を開始する。彼の動きを察知した特別高等警察(特高)のクロサキは、二人の民間スパイを送り込み監視を強める。思想を巡る攻防、国家権力に抗い信念を貫こうとする「敗れざる者たち」の矜持を描く、緊迫の歴史スパイミステリだ。