粥川 すず
大正十年、東京市。女中として働く二十四歳のふきは、かつて世話をした橘家の御曹司・勇吾と再会する。婚約が破談となり途方に暮れるふきへ、勇吾は突然の求婚をするのだ。親の許しが必要な時代、健気な女中とエリート学生、身分も年齢も異なる二人の新婚生活が幕を開ける。互いを思いやりながら絆を深めていく年の差夫婦の姿は、じんわりと心温まる。大正ロマンあふれる、純粋で愛おしい夫婦の物語である。