安田佳澄
かつて人を笑わせることに飢えた売れない芸人だった瀬良不二夫。彼はある秘密を抱え、逃亡生活を送っていた。孤独に耐えきれずデリヘル嬢を呼んだ夜、現れたのは彼の個人ラジオ「フジオのラジオ」の大ファン・伊丹洋子だった。洋子はフジオの正体に気づきながらも、彼との「秘密の共有」を選ぶ。WEBラジオによって結びついた二人の歪んだ逃避行が始まるのだ。行く先々で出会う人々との交流を通し、フジオは失われた「暮らし」と向き合っていく。緊迫感の中に人の温かさが息づく、異色の心理スリラーだ。