日野日出志
ある日、街に現れたのは、記憶を失い、身体は腐乱しているのに生きている男だった。心臓は止まり、脳波もない。彼は自分が「死肉の男」であることに苦悩し、さまよい続ける。警察に保護され、大学病院の隔離病棟に送られた彼は、蘇生を試みる医師たちによる人体実験の対象となる。繰り返される実験に嫌気が差し、男はついに脱走を試みるが、彼はいったい何者なのか、どこへ向かうのか。醜く腐った姿を世間はどう扱うのか。日野日出志が描く、究極のホラーでありながら、生と死、そして存在の哲学を問いかける異色の怪奇譚だ。