冬虫カイコ
母親に捨てられ、人魚伝説が残る田舎町に預けられた少女・一花。母親が迎えに来ると信じ、閉鎖的な村に馴染もうとしない彼女は孤独を抱えていた。そんな一花の前に現れたのは、いつもずぶ濡れの謎の少女「千年さん」だ。村人から忌み嫌われ、まるで存在しないかのように扱われる千年さん。彼女は善きものなのか、それとも――。人魚の言い伝えが色濃く残る町で、一花は千年さんと出会い、その日常は静かに、しかし確実に歪んでいく。じわじわと迫る恐怖と切なさが交錯する、ぞっとするほど美しい異類譚だ。